繊維特性に起因する苦情から-13

有限責任中間法人 日本繊維技術士センターの
顧問 松尾 繁 氏が執筆されました。
【繊維特性に起因する苦情から】
の内容を松尾繁氏のご了解を得まして記載させいいただきます。
内容は生地の種類別に記載されていまして、『綿』、『麻・毛・絹』
、『再生繊維・アセテート・ポリエステル』、『ナイロン・アクリル』
と四つに分かれています。
きっと皆さんにとって参考になることと確信しまして松尾氏にご無理を
お願いしまして記載させていただくことになりました。
このブログにて改めて感謝の意を表します。
        【 麻 ・ 毛 ・ 絹  】
   3. 麻の特性に係わる品質苦情
3-3     表示に関する苦情
3-3-1   誇大表示
  麻製品は希少価値商品になってきており、夏の紳士肌着はお中元など
の贈答用として販売されることが多くなった。麻100%の製品もあるが、
綿やポリエステルと混用されているものが多い。
ある年のお中元の時期に紳士肌着が「麻」と大きく書かれた包装箱に入れられて
販売されたことがあった。製品に縫いつけられている品質表示ラベルには綿
90 麻10と表示されており、麻の混用率はわずかだった。
箱の表示は麻100%と思わせるような表示で、本当の組成表示とは大きく異なる
ものであった。
購入者はいつも縫いつけ表示を見て買うわけではない。誤解を与えるような本件の
箱の表示は不当表示(不当景品類および不当表示防止法)に該当する。
  4.  毛の特性に係わる品質苦情
 毛は家庭用品品質表示法の指定用語では、羊毛(ウール)、カシミヤ、アンゴラ、モヘア、キャメルなどの総称になている。毛の生産量の内訳を見るとほとんど羊毛(ウール)である。
カシミヤ、アンゴラ、モヘア、キャメルなどは羊毛(ウール)と区別して特殊獣毛と
呼ばれることもある。羊毛には次のような特徴がある。
① 繊維に捲縮(クリンプ)があるので、布地などの繊維集合体では多くの空気を含み
温かく伸縮性があり、またしわになりにくい。
② 水をはじく性質(はつ水性)を持ちながら水分を多く吸収する。JISL 1030
による公定水分率は15.0%で、汎用繊維では最大である。
③ 繊維の表面にスケール(キュティクル、うろこ)があるため、洗濯などの湿潤
もみ作用を受けると繊維集合体である糸や布地の繊維のスケールが互いに引っかかり、各繊維は集合体の芯に向かって進む結果、集合体は収縮し硬くなる。
これをフエルト化という。
したがって一般にに毛製品は水洗いせずドライクリーニングを行うが、中性合成洗剤を用いてぬるま湯で押し洗いすれば、セーターなどの一重ものは毛製品であっても水洗いが可能である。
 羊毛は繊維長が長い(例えば50~100㎜)ものは梳毛(そもう)糸にしてスーツになるが、短い繊維長のものは太めの柔らかい紡毛糸にして、厚手のセーター、カーディガン、ジャケット、オーバーコート、毛布などになる。

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